フランスは日本と同様、社会保険方式となっていますが、入院や外来の医療費は、国が定めた金額までしか還付されません。
そのため自己負担額を減らすため、ミチュエルと呼ばれる任意保険に大勢の人が加入しています。
パリで医師と仕事をし、フランスの医療保険業務に長く関わった経験から、知っていると役立つ情報をお伝えしたいと思います。
今回は、自己負担額を減らすにはどのような医師を選べばいいかを説明したいと思います。
自己負担額を減らす医師の探し方・選び方
フランス社会保険の赤字削減を目的に、オランド大統領時代に取り入れられた制度【 Contrat responsable et solidaire】( 責任ある連帯契約 ) により、国の公的医療保険セキュリテ・ソシアルと任意保険ミチュエルの還付額が医師によって変わってきます。
どのような医師を選べば自己負担額が軽減されるのでしょうか?
医師との予約を取る前に、その医師がOPTAM (Option Pratique Tarifaire Maîtrisée)かどうかを確認することです。
フランスの医師はセクター1、セクター2、そしてセクター3の非協定医 ( セキュリテ・ソシアル と協定を結ばない) に分かれています。
セクター1の場合は、フランスの医療保険セキュリテ・ソシアルの定めた金額で、医師は報酬金を要求するので問題ありませんが、セクター2の医師の場合は、報酬金は医師自身が決めます。
セクター2の場合、OPTAMの医師は、報酬金が国の定めた適正価格に収まり、保険金の還付率も良くなります。
非協定医は、保険還付が殆どなく自己負担となります。
医師の情報を確認できるフランス医療保険のサイトはこちらです。
この医療保険公式サイトの使い方を説明します。
サイトの見方と医師の探し方
1ーUn professionel de Santé と書かれているところをクリックしてください。
クリックすると以下の画面になります。
2ー自分の受診する医師を知っている場合は医師の名前を記入し、Rechercher( 検索 )と書かれているボタンをクリックします。
3-医師を探したい時は、Professionと書かれているところから、赤線のリンクListe des professsionsをクリックして 医者の専門分野を選びます。
一般内科の場合は、Généraliste ( 英語のGP) です。
ここでは眼科医を選んだ場合の見方を紹介します。
眼科医の場合は、Ophtalmologiste を選び、次に場所の選択として、郵便番号や街の名前を記入していくと選択キーワードが表示されます。
例えばパリ8区在住の眼科医を探したい場合、8区の郵便番号75008を選択。
その時 à proximité de ( 近郊 も含む )をクリックするとその近郊も含まれるので、そうでない場合は、クリックしない方がいいと思います。
最後にRechercher ( 検索 )をクリックするとパリ8区眼科医のリストが表示されます。
4-自己負担額を少なくするための眼科医の選び方ですが、Type d'honoraires ( 報酬金のタイプ )と書かれているところをデフォルトの Indifférent のまま Rechercher ( 検索 )をクリックすると、全てのタイプの報酬金を要求する医師のリストが現れます。
給付率がいい医師を選びたい場合は、ここで、Honoraires sans dépassement ( セクター1 上記説明) , Honoraires avec dépassements maîtrisés (OPTAMセクター2上記説明) を選びます。
Honoraires libres はセクター2の医師ですが、還付率が悪くなり、Non conventionné は社会保険と協定を結んでいな医師のため、還付率がさらに悪くなります。
5-Rechercher ( 検索 )をクリックすると下記のようなリストが現れます。
これは Type d'honoraires ( 報酬金のタイプ ) を Indifférent のまま検索した場合ですが、そうすると自分が予約を取りたい医師がどのタイプの報酬金を要求するのかが、事前に分かります。
青で囲んだ Conventionné secteur 2 は上記説明 Honoraires libres になるため、赤で囲んだどちらかの医師を選んだ場合は、医療保険の給付率が良くなります。
医師の名前をクリックすると報酬金の金額も書いています。
まとめ
ここでは自己負担額を少なくするための、医師選びを説明しましたが、有能な医師かどうかの判断とは全く関係ありません。
医師の処方箋や建物の前の看板に、Ancien chef de Clinique /Ancien chef de Service などと書かれている場合は、有能な医師です。
しかしそれは過去の経験に基づいて得た地位であり、実際に診察を受けて見て、自分に合っているかを決めるのが大事だと思います。
公立病院勤務ではなく、自由業としてクリニックなどの私立病院で働く外科医はセクター2になりますが、OPTAMとして登録している外科医は僅かです。
国が定める適切と見なされる報酬金の枠が、自由業として、クリニックに費用を支払いながら、週60-70時間働く外科医にとって低すぎるからです。
国の社会保険の給付額は変えられないので、個人や会社で加入する任意保険・ミチュエルの還付率が、OPTAMの医師でなくても良い場合は問題ありません。
しかしOPTAM 以外の医師の報酬金の還付率をよくする場合、ミチュエルも国に保険税を余分に支払うことになるため、毎月の保険料も高くなります。
入院・手術のように高額な医療費が必要な場合は、事前にご加入のミチュエルをご確認されることをおすすめします。
ミチュエルの還付金額の計算の仕方に関しては、「フランス医療保険・医師の報酬金自己負担額 : 減らし方、計算の仕方」で具体的に説明しています。宜しければご覧ください。
-
フランス医療保険と処方のルール:処方箋有効期間と還付対象の基準
フランスは日本と同様、社会保険方式となっていますが、入院や外来の医療費は、国が定めた金額までしか還付されません。そのため自己負担額を減らすため、ミチュ ...
続きを見る
-
フランス医療保険・医師の報酬金自己負担額 : 減らし方、計算の仕方
フランスには国の公的医療保険セキュリテ・ソシアルと、個人や会社で加入する任意保険ミチュエルと2種類あります。セキュリテ・ソシアルの還付額だけでは自己負 ...
続きを見る
診察時にお役に立てれば幸いです。